「1970年9月28日のアブデル・ナセルの死は、エジプトにとって取り返しのつかない後退であった」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“The death of Abdel Nasser on September 28, 1970, was an irreversible setback for Egypt.”
日本語訳
「1970年9月28日のアブデル・ナセルの死は、エジプトにとって取り返しのつかない後退であった」
解説
この言葉は、フィデル・カストロがエジプトのガマール・アブデル・ナセル大統領の死を中東の革命的運動、特にアラブ民族主義にとって重大な損失と見なしていたことを表明した発言である。ナセルは1952年のエジプト革命後に台頭し、植民地主義に反対し、スエズ運河国有化やパン=アラブ主義の推進によってアラブ世界でカリスマ的な指導者となった。カストロにとって彼は、反帝国主義と第三世界の自立を象徴する同志的存在であった。
「取り返しのつかない後退(irreversible setback)」という表現には、ナセルが生きていれば推進されていたであろう政治的ビジョン、社会主義的政策、反植民地主義的な外交戦略が頓挫することへの深い失望と懸念が含まれている。その後のサダト政権がアメリカとの関係改善へと舵を切ったことにより、エジプトは中東における革新勢力から次第に後退し、第三世界の団結にも陰りが見え始めた。
現代においてこの言葉は、偉大な政治指導者の死がもたらすイデオロギー的・地政学的影響を強く意識させるとともに、個人の存在が時に国家と運動の方向性に決定的な影響を与えるという事実を再認識させる。カストロのこの発言は、革命的精神と国際的連帯の喪失を悼むと同時に、後進国の独立と統一を目指す戦略の継続的意義を強く訴える追悼の言葉である。
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