「石油は、大手ヤンキー系多国籍企業の手に握られた主要な富となった。このエネルギー資源を通じて、彼らは世界における政治的影響力を著しく拡大する手段を手にした」
- 1926年8月13日～2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“Oil has become the principal wealth in the hands of the great Yankee transnationals; through this energy source, they had an instrument that considerably expanded their political power in the world.”
日本語訳
「石油は、大手ヤンキー系多国籍企業の手に握られた主要な富となった。このエネルギー資源を通じて、彼らは世界における政治的影響力を著しく拡大する手段を手にした」
解説
この言葉は、石油を中心とする資源支配とアメリカ帝国主義の拡張との結びつきを批判的に語るフィデル・カストロの視点を端的に示している。カストロは、世界の経済・政治秩序がアメリカを中心とする巨大な多国籍資本によって形作られており、その中でも石油が最も戦略的な資源であり続けたことに注目していた。特に「ヤンキー」という言葉は、アメリカ帝国主義を象徴する呼称として用いられており、この構造が世界的な支配と従属を生み出しているとする批判が込められている。
「石油を通じて政治的影響力を拡大した」という表現は、アメリカが中東、ラテンアメリカ、アフリカなどの資源豊富な地域において軍事介入や政権操作を行ってきた現実を指摘するものであり、石油が単なるエネルギー資源ではなく、地政学的支配のレバーとして機能していることへの警告でもある。
この言葉は現代においても、エネルギーをめぐる地政学的争奪戦、環境危機、グローバル資本主義への依存構造といった問題を考えるうえで重要な示唆を与える。カストロのこの発言は、富と資源の集中がいかにして国家主権や国際正義を脅かす手段と化すか、そしてそれに対抗するためには資源の公正な管理と国際連帯が不可欠であるという警告として受け止めるべきものである。
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