「オバマには、オサマが子どもや妻たちの目の前で処刑されたという事実を隠す術はない。彼らは現在、約2億人の人口を抱えるイスラム教国パキスタンの当局の管理下にある。その国の法律は侵され、国家の尊厳は傷つけられ、宗教的伝統は汚されたのだ」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“Obama has no way to conceal that Osama was executed in front of his children and wives, who are now under the custody of the authorities of Pakistan, a Muslim country of almost 200 million inhabitants, whose laws have been violated, its national dignity offended, and its religious traditions desecrated.”
日本語訳
「オバマには、オサマが子どもや妻たちの目の前で処刑されたという事実を隠す術はない。彼らは現在、約2億人の人口を抱えるイスラム教国パキスタンの当局の管理下にある。その国の法律は侵され、国家の尊厳は傷つけられ、宗教的伝統は汚されたのだ」
解説
この言葉は、2011年に行われたアメリカによるオサマ・ビンラディン殺害作戦に対するフィデル・カストロの強い非難を表している。彼はここで、作戦の合法性だけでなく、人道性、国際法、そして宗教的敬意の観点からも深刻な問題があったと指摘している。特に、「子どもや妻の前での処刑」「主権国家であるパキスタンの法律や尊厳の侵害」「イスラムの宗教的伝統の汚染」といった要素に焦点を当てることで、単なる報復ではなく、文明的価値観への挑戦であると批判している。
アメリカ政府はこの作戦を「正義の執行」として正当化したが、カストロはそれに対し、国家主権や国際法の無視、さらにはイスラム文化への侮辱が含まれていたことを問題視している。彼の視点では、いかなる人物であっても、法と手続きを経ずに処刑する行為は許されず、それがイスラム世界全体に与えた心理的・政治的影響は計り知れないという警告を含んでいる。
この発言は、現代の対テロ戦争や先制攻撃のあり方、国家による武力行使の正当性を問う倫理的・法的な議論と密接に関わっている。カストロのこの言葉は、力による「正義の貫徹」が他国の主権や文化を無視して行われた場合、国際社会の秩序そのものを危うくするという視点を強く示しており、一極的覇権主義への警鐘としての意味を持っている。
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