「私たちは他国の知性を奪ったことなど一度もない。反対に、キューバでは何万人もの医師や高度な専門職を無償で育成し、彼らを自国に戻すために送り出してきた」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“Never have we stolen the intelligences of other peoples. On the contrary, in Cuba we have trained tens of thousands of doctors and other top-level professionals, for free, in order to send them back to their own countries.”
日本語訳
「私たちは他国の知性を奪ったことなど一度もない。反対に、キューバでは何万人もの医師や高度な専門職を無償で育成し、彼らを自国に戻すために送り出してきた」
解説
この言葉は、キューバが実践してきた国際的連帯と教育支援の姿勢を誇らしげに述べたものである。フィデル・カストロは、多くの先進国が発展途上国から優秀な人材を引き抜き、いわゆる「頭脳流出(brain drain)」を助長していることを批判し、キューバはその逆のことをしてきたと主張する。つまり、知識や教育を一方的に吸収するのではなく、それを他国に還元する立場を貫いてきたという姿勢である。
実際、キューバは「ラテンアメリカ医科大学」などを通じて、多くの外国人学生に無償の医学教育を提供し、卒業後に母国で公衆衛生に貢献することを奨励してきた。これは単なる人道支援にとどまらず、キューバの革命理念に基づく国際主義の実践であり、同時に国家の「ソフトパワー」としての役割も果たしていた。
この言葉は、今日のグローバル化と移民問題、そして教育と平等の権利について再考させる視点を提供する。教育を利益追求の道具とせず、連帯の手段として用いるという理念は、持続可能な国際関係のモデルとなりうる。カストロのこの発言は、知識と人材を私物化しないという倫理的態度の重要性を強く訴えている。
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