「マルクスとエンゲルスは、ブルジョワを殺すことなど一度も語っていない。古いブルジョワ的な概念によれば、裁くのは裁判官であり、処刑するのは死刑執行人であった」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“Marx and Engels never talked about murdering the bourgeois. According to the old bourgeois concept, the judges were the ones who judged, and the executioners were the ones who executed.”
日本語訳
「マルクスとエンゲルスは、ブルジョワを殺すことなど一度も語っていない。古いブルジョワ的な概念によれば、裁くのは裁判官であり、処刑するのは死刑執行人であった」
解説
この言葉は、フィデル・カストロがマルクス主義思想に対する誤解や歪曲に反論し、革命思想の倫理的側面を擁護するために述べた発言である。カストロは、しばしばマルクス主義や社会主義に対して「暴力的で過激」「資本家階級の抹殺を正当化する」というイメージが付与されがちなことに対し、マルクスとエンゲルス自身はブルジョワ階級の「殺害」ではなく、階級的な対抗運動と体制の転覆を論じていたと釘を刺している。
また後半の「古いブルジョワ的概念」とは、近代市民社会における法の支配と手続き的正義を意味し、個人の私的報復や非合法な処罰ではなく、法的枠組みによる統治の理念を指す。カストロはここで、革命の名のもとに無法や恣意的な暴力を正当化することはマルクス主義の本来の精神ではないことを示唆している。
この言葉は現代においても、社会変革や階級闘争において倫理的制約と制度的正義をどう両立させるかという問題に重要な視点を与える。カストロのこの発言は、思想的正当性と道徳的実践の両立を求め、革命が無秩序や復讐ではなく、秩序と正義の再構築であるべきだという強い哲学的主張である。
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