「私を支える思想と、あの象徴的で並外れた人物イエス・キリストの思想との間に、私はこれまで一度も矛盾を感じたことはない」

• 1926年8月13日～2016年11月25日
• キューバ出身
• 革命家、政治家、弁護士

英文

“I never saw a contradiction between the ideas that sustain me and the ideas of that symbol, of that extraordinary figure, Jesus Christ.”

日本語訳

「私を支える思想と、あの象徴的で並外れた人物イエス・キリストの思想との間に、私はこれまで一度も矛盾を感じたことはない」

解説

この言葉は、フィデル・カストロが持つ社会正義・連帯・貧者への共感といった理念が、キリスト教の核心的教えと一致するものであるという自己認識を表したものである。マルクス主義者であり無神論者としても知られたカストロが、イエス・キリストという宗教的人物を道徳的・象徴的存在として肯定する姿勢は、単なる宗教寛容を超えた深い倫理的共鳴を示している。

彼はイエスを、「貧者の友」「抑圧に抗う者」「正義を求めた革命的存在」として捉え、革命思想とキリスト教的人間観の間には共通点があるという視点を持っていた。このような言葉は、宗教と政治が対立するものではなく、共に人間解放を目指す倫理的運動でありうるという広い視野から語られている。

現代においてもこの言葉は、宗教的信仰と社会的実践の調和、またイデオロギーを超えた共通の道徳的価値への接近を象徴する発言である。カストロのこの言葉は、思想の違いが断絶ではなく連帯の契機になりうるという可能性を示し、政治的信念と宗教的倫理が交差する地平を開くものとなっている。

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