「カール・マルクスは山上の説教に賛同したかもしれないと私は思う」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“I believe Karl Marx could have subscribed to the Sermon on the Mount.”
日本語訳
「カール・マルクスは山上の説教に賛同したかもしれないと私は思う」
解説
この言葉は、共産主義思想とキリスト教的価値観との重なりを意識したものである。山上の説教とは、イエス・キリストが語った「貧しい者は幸いである」「敵を愛せよ」などの倫理的教えであり、社会的弱者への共感と平等への志向が色濃い。カール・マルクスもまた、資本主義社会における階級格差を批判し、労働者の救済を訴えた思想家である。フィデル・カストロがこの発言を通して強調するのは、イデオロギーの違いを超えて、人間の尊厳を守る思想は通底しているという見解である。
カストロは無神論的マルクス主義を掲げた指導者であったが、カトリック文化が根強いキューバ社会との調和も模索していた。この発言は、宗教と革命思想が必ずしも対立するものではないという立場を示している。とりわけ、神の名を借りた権力に対する批判と、貧者の側に立つ道徳的価値観は、両者に共通して見出せるという含意がある。
現代においても、経済的不平等や社会正義を論じる文脈でこの名言は意義を持つ。たとえば、貧困層支援を重視する宗教的NPOと、社会主義的政策を唱える政党が連携する例もあるように、理念の一致点に注目する姿勢は、分断を乗り越える鍵となる。カストロのこの言葉は、異なる思想の間に橋を架けようとする試みといえる。
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