「私は資本主義の政治経済学を学ぶことで共産主義者になった。そしてその問題をある程度理解したとき、それがあまりにも不条理で、非合理的で、非人間的に思えてきたため、自分なりに生産と分配のための新たな公式を考え始めたのだ」

フィデル・カストロの名言・格言・警句(画像はイメージです)
フィデル・カストロの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1926年8月13日~2016年11月25日
  • キューバ出身
  • 革命家、政治家、弁護士

英文

“I became a Communist by studying capitalist political economy, and when I had some understanding of that problem, it actually seemed to me so absurd, so irrational, so inhuman, that I simply began to elaborate on my own formulas for production and distribution.”

日本語訳

「私は資本主義の政治経済学を学ぶことで共産主義者になった。そしてその問題をある程度理解したとき、それがあまりにも不条理で、非合理的で、非人間的に思えてきたため、自分なりに生産と分配のための新たな公式を考え始めたのだ」

解説

この言葉は、フィデル・カストロの思想的転機と、彼が共産主義に至った経緯を率直に語る自己証言である。興味深いのは、彼が最初から共産主義者であったのではなく、資本主義の仕組みを学ぶ過程でその矛盾に気づき、それに対する倫理的・理論的な拒否感が思想的転向を促したという点である。カストロにとって、資本主義の経済体系は、富の偏在と人間性の軽視という点で「不条理」「非合理」「非人間的」なものであり、それが思想と行動の出発点となった

「自分なりの公式を考え始めた」という部分は、単なる否定にとどまらず、新しい生産と分配の仕組みを構想する創造的段階への移行を意味している。これはまさに、キューバ革命後の社会主義的政策――土地改革、医療・教育の無料化、国営企業の拡大――へとつながる発想の萌芽とも言える。批判的思考を土台とし、理想と実践を結びつける構想力が彼の政治行動の中核にあったことがうかがえる。

現代においてこの発言は、既存の制度を批判的に学び直すことからこそ、本質的な変革が始まるという教訓を与える。カストロのこの言葉は、知識と倫理の接点から出発し、自らの頭で考え抜くことの重要性と、それによって世界を変える可能性があることを示した、思想的自己変革の記録である。

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