「ミサイル危機の後、アメリカとソ連の間でデタント(緊張緩和)が進み始めたため、国際政治の気候はそれ以降、改善された」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“Following the missile crisis, detente started to gain ground between the United States and the Soviet Union, so the international political climate improved after that.”
日本語訳
「ミサイル危機の後、アメリカとソ連の間でデタント(緊張緩和)が進み始めたため、国際政治の気候はそれ以降、改善された」
解説
この言葉は、1962年のキューバ危機(ミサイル危機)を契機に、米ソ間の関係が一時的にではあれ緩和へと向かい、世界の政治的緊張がいくらか和らいだという歴史的変化をフィデル・カストロが認識・評価した発言である。キューバ危機は核戦争寸前の危機をもたらしたが、その直後から米ソ間でホットライン(直接通信回線)の設置や、軍縮交渉などの「デタント(緊張緩和)」の流れが生まれた。
カストロにとって、この変化は複雑な意味を持つ。キューバは危機の当事国でありながら、交渉から排除されていたため、ソ連の外交判断に不信感を抱いていた側面もあるが、同時に世界大戦の回避と平和的共存の流れには現実的価値を見出していた。この発言では、核戦争のリスク回避という観点から、米ソの対話が国際社会にもたらした安定への期待を率直に認めている。
現代においてこの言葉は、危機を経た後の対話と外交によって国際秩序が改善されうるという、現実政治における希望のモデルとして受け取ることができる。カストロのこの発言は、いかなる対立であれ、理性的な外交と共通の危機意識によって転換点を迎え得るという、歴史的教訓を示す冷静な分析である。
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