「戦争(現代戦)の本当の問題は、誰一人として正しい人間を殺す機会を与えないことである」

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

英文

“The real trouble with war (modern war) is that it gives no one a chance to kill the right people.”

日本語訳

「戦争(現代戦)の本当の問題は、誰一人として正しい人間を殺す機会を与えないことである」

解説

この言葉は、現代戦争の本質的な悲劇を皮肉的に表現している。戦争においては、武器の破壊力や規模が拡大することで、罪のない人々や無関係な人々が犠牲になる。パウンドは「正しい人間」とは、戦争を引き起こす権力者や責任者を指していると考えられるが、実際には彼らではなく一般市民や兵士が命を落とすことになる。この点にこそ戦争の最大の不条理があると指摘している。

エズラ・パウンドは20世紀前半の二度の大戦を目の当たりにし、その中で社会や政治への批判を強めた人物であった。彼は体制や権力者を激しく批判し、戦争の被害が常に弱者に集中する構造を憎んでいた。この発言は、彼自身の反戦的な視点と同時に、時代の現実を冷徹に観察したものである。

現代においても、この言葉は強い示唆を持つ。大規模兵器やテロ、空爆などによる戦争は、指導者や責任者ではなく、市民や兵士といった「間違った人々」を犠牲にしてしまう。パウンドのこの警句は、戦争の不条理と構造的な矛盾を突きつけ、真に責任を負うべき者が裁かれない現実を考えさせるのである。

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