「誰かが言った、私はヨーロッパの悲劇を生きる最後のアメリカ人なのだと」

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

英文

“Somebody said that I am the last American living the tragedy of Europe.”

日本語訳

「誰かが言った、私はヨーロッパの悲劇を生きる最後のアメリカ人なのだと」

解説

この言葉は、エズラ・パウンドが自らの境遇を語る際に引用したものである。彼はアメリカ生まれでありながらヨーロッパに渡り、詩人・批評家として活動した。その中で彼は第一次世界大戦、ファシズムの台頭、第二次世界大戦といったヨーロッパの激動と悲劇を直接的に体験し、その渦中に身を置いた。この言葉には、彼がアメリカ人でありながらヨーロッパの運命を自らのものとして背負ったという複雑な立場が示されている。

背景として、パウンドはイタリアでムッソリーニに傾倒し、戦時中にはファシズムを支持する発言を繰り返したことで、戦後には反逆罪の嫌疑と収監を受けることになった。アメリカ人としての出自と、ヨーロッパ的運命を共にしたという彼の言葉は、個人のアイデンティティと歴史的悲劇の交錯を象徴している。

現代的に見ると、この言葉は個人が自らの文化的背景を越えて別の歴史や運命に深く関わる姿を表すものとして解釈できる。グローバル化した今日においても、人は出身地の枠を超え、他地域の危機や悲劇に巻き込まれることがある。パウンドの言葉は、芸術家や知識人が自らの時代と運命を切り離せない存在であることを鋭く示しているのである。

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