「報酬のために書かれたものに、印刷する価値はない。市場に逆らって書かれたものだけが価値を持つ」

- 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 詩人、批評家、翻訳家
英文
“Nothing written for pay is worth printing. Only what has been written against the market.”
日本語訳
「報酬のために書かれたものに、印刷する価値はない。市場に逆らって書かれたものだけが価値を持つ」
解説
この言葉は、芸術や文学における商業主義への痛烈な批判を表している。パウンドは、金銭的報酬を目的として書かれた作品は迎合的になり、真に独創的で誠実な表現にはならないと考えた。彼にとって価値のある文章とは、むしろ市場の需要や大衆の好みに抗い、作家自身の信念や真理の追求から生まれるものであった。
背景として、20世紀初頭の文学界は出版産業の拡大によって商業化が進み、芸術的価値よりも売上が優先される傾向が強まっていた。パウンドはその流れに反発し、詩人や作家は大衆に媚びるのではなく、芸術の革新を使命とすべきだと主張した。この言葉は、芸術の純粋性を守ろうとするモダニスト的姿勢を端的に示している。
現代でも、この言葉は大きな意味を持つ。娯楽や消費を前提とした大量生産的なコンテンツが氾濫する一方で、商業的成功とは無縁の作品が後に高く評価されることは少なくない。パウンドの警句は、市場原理に抗う真摯な創作こそが時代を超える価値を持つと教えており、芸術や表現の在り方を問い直す強い示唆を与えているのである。
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