「良い仕事をしたいと思う者にとって、自由詩など存在しない」

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

英文

“No verse is libre for the man who wants to do a good job.”

日本語訳

「良い仕事をしたいと思う者にとって、自由詩など存在しない」

解説

この言葉は、自由詩(vers libre)に対するエズラ・パウンドの批判的立場を示している。表面的には形式から解放された自由詩であっても、真に価値ある作品を生み出そうとする詩人にとっては、言葉の選択・リズム・構成といった厳格な制約が依然として存在する。つまり、詩作において「完全な自由」は幻想であり、むしろ高度な技法と緊張感が求められるという考えである。

パウンドはモダニズム詩の革新者であり、イマジズムを推進する中で言語の凝縮と形式の刷新を追求した。しかし、彼にとって形式の放棄は放漫さにつながる危険があり、詩人はどのような形であれ厳格な規律を持って言葉を扱わねばならないと信じていた。この発言は、自由詩が広がりつつあった20世紀初頭における、彼独自の立場を鮮明にしている。

現代においても、この言葉は創作における自由と規律の関係を考えさせる。たとえば現代音楽やアートにおいて「自由形式」を標榜しても、優れた作品には必ず背後に技術的基盤と意識的な選択がある。パウンドの警句は、真に価値ある創作には形式に代わる自己規律と技法への誠実さが不可欠であることを教えているのである。

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