エズラ・パウンド

エズラ・パウンド(画像はイメージです)
  • 1885年10月30日~1972年11月1日(87歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 詩人、批評家、翻訳家

人物像と評価

エズラ・パウンド(Ezra Pound)は、アメリカ出身の詩人であり、20世紀モダニズム文学を切り開いた中心人物である。

彼は「イマジズム」を提唱し、明確で凝縮された表現を重視して詩の革新を試みた。

また『キャントーズ』に代表される長編詩で独自の文学世界を構築し、T.S.エリオットやジェイムズ・ジョイスら同時代作家を支援することで文学史に大きな影響を与えた。

一方で、彼の政治的立場は強い批判を浴びた。

ファシズムを支持し、ムッソリーニ政権下で反ユダヤ的なラジオ放送を行ったため、戦後は逮捕・収監され、長年精神病院に拘束された。

文学的革新者としての功績と、政治的過ちの両面が彼の評価を複雑にしている。

それでも彼の詩作と理論は、20世紀詩の方向性を決定づけた革新的な試みとして位置づけられている。

名言

  1. 「鐘を鳴らす行為は、すべての布教宗教の象徴である。それは他人の静けさに対する無意味な干渉を意味する」
  2. 「真の教育は、最終的には知ろうと強く望む者に限定されなければならない。それ以外は単なる羊の群れの世話にすぎない」
  3. 「自殺者は、未知の世界へ旅立つ前に、少なくとも一匹の豚を道連れにするべきだと、私は常に考えてきた」
  4. 「口語詩が真の芸術に対して持つ関係は、床屋の蝋人形が彫刻に対して持つ関係と同じである」
  5. 「文学とは、ニュースであり続けるニュースである」
  6. 「ある集団や宗派に対する一般的な嫌悪には、たいてい本能に基づいた確かな理由がある」
  7. 「文字の芸術は西暦2000年以前に終わりを迎えるだろう。私は珍品として生き残ることになるだろう」
  8. 「私は批評を単なる予備的な刺激、すなわち作家がいずれ自らの頭の中で整理しなければならない事柄の表明にすぎないと考える。おそらく執筆に先立つものであり、後に創作として結実しない限り価値はない」
  9. 「ただ一つしてはならないことは、芸術に何か問題があるとき、それが芸術だけの問題だと考えることである」
  10. 「技法は誠実さを試すものである。もし何かを表現するために技法を身につける価値がないならば、それは劣った価値しか持たない」
  11. 「動くか、さもなくば動かされるかである」
  12. 「天才とは…凡人が一つしか見ないところに十のものを見る能力である」
  13. 「私は、短気でないのに価値のある人物を一人として知らない」
  14. 「現代の芸術家は技巧と暴力によって生きねばならない。彼の神々は暴力的な神々である。その闘争を作品に示さない、いわゆる芸術家たちはつまらない存在である」
  15. 「二人の人間がビジネスにおいて常に同意するならば、そのうちの一人は不要である」
  16. 「個人、あるいは異端者が何らかの本質的な真理をつかんだり、実践されている体制の誤りを見抜いたとしても、彼自身が数多くの些末な誤りを犯すために、その主張を確立する前に疲弊してしまう」
  17. 「私は紳士のように飢えることができると信じている。詩人の訓練の一部として、それが記されているのだよ」
  18. 「良い仕事をしたいと思う者にとって、自由詩など存在しない」
  19. 「誰かが言った、私はヨーロッパの悲劇を生きる最後のアメリカ人なのだと」
  20. 「戦争(現代戦)の本当の問題は、誰一人として正しい人間を殺す機会を与えないことである」
  21. 「彫刻家たちの専門用語は私には理解できない。なぜ私が、緑の花崗岩で作られ、妊娠しているかのように見える片目の怪物が直角の角を回っている姿を称賛するのか、正確にはわからない」
  22. 「天才にはいかなる表現方法を用いる権利もある」
  23. 「報酬のために書かれたものに、印刷する価値はない。市場に逆らって書かれたものだけが価値を持つ」
  24. 「文明人とは、真剣な問いに対して真剣な答えを与える者である。文明そのものは、健全な価値の均衡である」
  25. 「そしてニューヨークは世界で最も美しい都市なのか?それにそう遠くはない。あの都市の夜のような夜は他にない…炎の四角形が次々と立ち上がり、天空を切り取ってゆく。ここに我らの詩がある。なぜなら我らは星々を引き下ろし、我らの意志に従わせたからだ」
  26. 「良き作家とは、言語を効率的に保つ者である。すなわち、正確にし、明晰に保つ者である」
  27. 「すべての偉大な芸術は大都市から生まれる」
  28. 「一般的な言明は銀行に振り出された小切手のようなものだ。その価値は、それを裏付けるものがあるかどうかにかかっている」
  29. 「人の心を喜ばせるために本来つくられた芸術を、最も厳密に学ぶ場合でさえ、陰鬱さや過度の厳粛さはまったく場違いである」
  30. 「もしクエーカー教徒が音楽を禁じた理由が、教会音楽があまりにもひどいからだと信じられるなら、私は彼らを好意的に見るだろう」
  31. 「私が犯した最悪の過ちは、あの愚かで、郊外的偏見である反ユダヤ主義だった」
  32. 「狂人の定義とは、自分の周りを狂人に囲まれた人間のことだろう」
  33. 「本来、人は力を得るために読むべきである。読む人間は強烈に生きている人間でなければならない。本は手の中で輝く光の球であるべきだ」
  34. 「文学は真空の中に存在するものではない。作家は作家として、その能力に正比例した明確な社会的役割を持つ。これこそが彼らの主要な用途である」
  35. 「音楽は舞踏からあまりにも遠ざかると衰え始める…詩は音楽からあまりにも遠ざかると衰え始める」
  36. 「宗教とは、ああ、芸術を大衆化しようとした試みから生じた数多くの失敗のうちの一つにすぎない」
  37. 「偉大な文学の時代とは、おそらく常に偉大な翻訳の時代でもある」
  38. 「国の文学が衰退すれば、その国は萎縮し、腐敗する」
  39. 「もしやめていれば自分がラテン語の教授になっていたというのなら、とっくに自殺していたことだろう、と言わせてほしい」
  40. 「人類とは豊かな流出物であり、廃棄物であり、肥やしであり、土壌である。そしてその中から芸術という木が育つ」
  41. 「いかに『不道徳』とされようとも、良き芸術は完全に美徳のものである。良き芸術が不道徳であり得るはずがない。私が良き芸術というのは、真実を証言する芸術、最も精確である芸術を意味する」
  42. 「人はある程度の人生経験を積むまで本を理解しない。少なくとも深い本を理解するには、その内容の一部を自ら見て生きる必要がある」
  43. 「偉大な文学とは、言語に可能な限り最大の意味を帯びさせたものである」
  44. 「イメージは単なる観念以上のものである。それは渦であり、融合した観念の集合であり、エネルギーを帯びている」
  45. 「人々が観念を退屈だと感じるのは、生きている観念と、棚に飾られた剥製の観念とを区別しないからだ」
  46. 「誰も深い本を理解することはできない。その内容の一部を自ら見て、生きてみるまでは」
  47. 「奴隷とは、誰かが来て自分を解放してくれるのを待っている者のことである」
  48. 「我々の時代の呪いは金融の非識字である。それは、以前の世紀において普通の印刷物を読めないことが呪いであったのと同じだ」
  49. 「戦争は負債を生み出すために作られる」
  50. 「芸術家が結婚することは違法であるべきだ。もしどうしても結婚するなら、相手は彼自身よりも芸術、あるいは彼の芸術、あるいは彼の芸術家としての部分により強く関心を持つ人でなければならない。そのうえで週に三度、一緒にお茶を飲む程度にとどめるべきだ」
  51. 「もし後援者が金を必要としている芸術家から作品を買うなら、その後援者は芸術家と同等の存在となる。彼は芸術を世界に築き上げるのであり、創造するのである」