「私はそれが好きではないし、それに関わったことを後悔している」

エルヴィン・シュレーディンガー(画像はイメージです)
エルヴィン・シュレーディンガー(画像はイメージです)
  • 1887年8月12日~1961年1月4日(73歳没)
  • オーストリア出身
  • 理論物理学者

英文

”I don’t like it, and I’m sorry I ever had anything to do with it.”

日本語訳

「私はそれが好きではないし、それに関わったことを後悔している」

解説

この言葉はしばしばシュレーディンガーが自らの有名な「シュレーディンガーの猫」の思考実験について語ったとされるものである。彼は量子力学の奇妙さを示すためにこの比喩を用いたが、それが後世において単純化され、あたかも彼自身が猫を使って量子理論を支持したかのように受け取られることを嫌っていた。ここには本意ではなかった誤解や曲解への苛立ちがにじんでいる。

時代背景として、1930年代の量子力学はコペンハーゲン解釈を中心に展開されており、観測と現実の関係が激しい論争の的であった。シュレーディンガーはその議論の中で、量子の重ね合わせを猫という身近な例で示したに過ぎなかった。しかしそのイメージの強烈さが一人歩きし、彼自身が支持していない解釈と結び付けられたことが、この言葉に込められた後悔の理由である。

現代においてもこの言葉は重要な意味を持つ。科学者の意図しない比喩やモデルが独り歩きし、誤解や神話として定着する危険性を教えている。例えば「ビッグバン」という言葉も元々は批判的に使われたが、今や宇宙の標準モデルの名として定着している。このように、科学の説明や比喩は人々の理解を助ける一方で、誤解を招く可能性を常にはらんでいるのである。

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