「孤独に生きる動物にとって利己主義は種を保存し改善する傾向をもつ美徳であるが、いかなる共同体においてもそれは破壊的な悪徳となる」

- 1887年8月12日~1961年1月4日(73歳没)
- オーストリア出身
- 理論物理学者
英文
”For a solitary animal egoism is a virtue that tends to preserve and improve the species: in any kind of community it becomes a destructive vice.”
日本語訳
「孤独に生きる動物にとって利己主義は種を保存し改善する傾向をもつ美徳であるが、いかなる共同体においてもそれは破壊的な悪徳となる」
解説
この言葉はシュレーディンガーが利己主義と共同体の関係を論じたものである。彼は自然界の生物を例に取り、単独で生きる存在においては自己保存の本能、すなわち利己的な行動が種の存続に資することを指摘している。しかし、社会的な共同体を形成する場合、利己主義は全体の調和を乱す要因となり、最終的にその共同体を崩壊へ導く危険性をもつと説いている。
時代背景として、この考えは20世紀前半のヨーロッパ社会の経験とも重なる。第一次世界大戦や第二次世界大戦において、国家や集団が極端に利己的な方向へ進んだ結果、破壊と混乱がもたらされた。シュレーディンガーは科学者として自然の法則を洞察する一方で、人間社会の行動原理についても批判的な視点をもっていた。この言葉はその哲学的立場を象徴している。
現代においてもこの名言は重要である。グローバル化が進む社会では、気候変動、資源管理、経済格差といった課題に対して利己主義的な対応をすれば破滅を招く。逆に、利己心を抑制し協力を重視すれば、持続可能な発展が可能となる。この名言は、生物学的な視点から社会倫理に通じる普遍的な教訓を与えているのである。
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