「デカダンスは使いにくい言葉だ。それは批評家がまだ理解していないものや、自分たちの道徳概念と異なるように見えるものに対して、ただの罵倒語として使われるに過ぎなくなってしまったからだ」
- 1899年7月21日~1961年7月2日
- アメリカ出身
- 小説家、詩人、ジャーナリスト
- 『老人と海』や『武器よさらば』、『誰がために鐘は鳴る』などの名作を著し、1954年にノーベル文学賞を受賞した
英文
“Decadence is a difficult word to use since it has become little more than a term of abuse applied by critics to anything they do not yet understand or which seems to differ from their moral concepts.”
日本語訳
「デカダンスは使いにくい言葉だ。それは批評家がまだ理解していないものや、自分たちの道徳概念と異なるように見えるものに対して、ただの罵倒語として使われるに過ぎなくなってしまったからだ」
解説
この名言は、「デカダンス」という言葉が抱える曖昧さや、その乱用に対するヘミングウェイの批判的な視点を示している。彼はこの言葉が本来持つ文学的・文化的な意味が薄れ、批評家の主観的な価値観に基づいて安易に用いられていることに懸念を表している。
「デカダンス」とは本来、退廃や衰退、またはそれを美学として捉える動きを指すが、この言葉は多くの場合、単なる否定的な意味合いで使われがちである。ヘミングウェイは、このような用法が批評家自身の限られた理解や価値観に基づいていることを指摘している。つまり、彼らが理解できない新しい表現や、道徳観に反するものに対して乱暴に貼られるレッテルとしての「デカダンス」は、本質を捉えていないというわけだ。
さらに、「批評家の道徳概念」という部分は、批評という行為がしばしば個人的な価値観や先入観に左右されることを示唆している。この名言からは、ヘミングウェイ自身が創作において感じた批評の偏見や、それに対する不満が反映されていると考えられる。彼は作品や文化の多様性を尊重し、理解されないからといって一方的に否定されるべきではないと考えていたのだろう。
現代においても、この言葉の背景にある批評の問題は普遍的である。新しい価値観や表現が生まれるたびに、既存の枠組みから外れるものは否定的に捉えられることがある。この名言は、そうした狭い視点からの判断を慎むよう促し、より深い理解と受容の必要性を訴えている。
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