「“~せねばならぬ”という言葉は、君主に対して使うべきではありません」

エリザベス1世の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1533年9月7日~1603年3月24日
  • イングランド出身
  • イングランド女王

英文

“The word must is not to be used to princes.”

日本語訳

「“~せねばならぬ”という言葉は、君主に対して使うべきではありません」

解説

この言葉は、王権の尊厳と自由裁量の原則を強く主張するエリザベス1世の姿勢を示している。彼女は、自身の地位が神から授けられた絶対的な権威に基づくものであるという信念を持っており、そのような地位にある者に対して命令や強制の口調を用いることは、王権に対する侮辱であると考えていた。ここには、君主は指図される存在ではなく、自ら決断する立場にあるという強い自負が表れている。

この発言は、臣下や外交使節が女王に何かを求めた際に、強い調子で要請したことに対する反発として発されたとされる。特に女性であることから軽んじられがちな立場の中で、エリザベス1世は王としての威厳を守るため、言葉の力を通じて自らの地位を明確に主張する必要があった。言葉選びひとつが、統治の正統性と心理的優位に直結するという点で、この言葉は政治的にも戦略的であった。

現代においてもこの名言は、リーダーに対する敬意ある接し方や、権威と対話のバランスを考える上で示唆に富む。指導者に対して強制的な物言いをすれば、信頼や協力の関係を損なう可能性がある。この言葉は、敬意と慎重な言葉遣いが人間関係の基盤であることを教えてくれる、時代を超えた教訓である。

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