「絶対的な安全を求める虚しい追求の中で、私たちは自らを破綻させることになるだろう」

ドワイト・D・アイゼンハワーの名言
ドワイト・D・アイゼンハワーの名言
  • アメリカ合衆国出身
  • 軍人、政治家、第34代アメリカ合衆国大統領
  • 第二次世界大戦中に連合国軍の最高司令官としてヨーロッパ戦線を指揮し、ノルマンディー上陸作戦を成功に導いた。大統領としては冷戦下の安定と経済成長を推進し、州間高速道路網の建設や公民権運動初期への対応でも知られている。

英文

“We will bankrupt ourselves in the vain search for absolute security.”

日本語訳

「絶対的な安全を求める虚しい追求の中で、私たちは自らを破綻させることになるだろう」

解説

この名言は、無限の安全保障を求めることの危険性と愚かしさを警告するものである。アイゼンハワーは冷戦期、アメリカが莫大な軍事予算を費やす状況を目の当たりにしていた。その中で彼は、「完全な安全」は幻想であり、それを目指して国家の経済や社会資源を浪費することは、むしろ自滅への道であると訴えた。安全の追求が行き過ぎれば、それ自体が国家の存続を脅かすという逆説的な視点が表れている。

1950年代、核兵器の拡張競争が激化し、軍事産業が経済に深く根を張り始めていた。アイゼンハワーは大統領退任演説でも「軍産複合体の影響力」に対する警鐘を鳴らしており、この名言もその流れの中にある。安全保障は必要だが、それが国家財政や民主的原則を蝕んでは本末転倒であるという強い問題意識が背景にある。

現代においても、過剰な監視社会、軍事費の肥大化、テロ対策名目での市民権の制限などが問題視されている。アイゼンハワーのこの言葉は、自由と安全、経済と防衛、国家と個人のバランスをいかに保つべきかを考える上で極めて重要な示唆を与えている。幻想の中で全てを捧げることが、最大の不安定を招くというこの警告は、今なお深く響くものである。

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