「我々は、軍産複合体によって、望まれたものであれ望まれざるものであれ、正当でない影響力が獲得されることに対して警戒しなければならない」

ドワイト・D・アイゼンハワーの名言
ドワイト・D・アイゼンハワーの名言
  • アメリカ合衆国出身
  • 軍人、政治家、第34代アメリカ合衆国大統領
  • 第二次世界大戦中に連合国軍の最高司令官としてヨーロッパ戦線を指揮し、ノルマンディー上陸作戦を成功に導いた。大統領としては冷戦下の安定と経済成長を推進し、州間高速道路網の建設や公民権運動初期への対応でも知られている。

英文

“We must guard against the acquisition of unwarranted influence, whether sought or unsought, by the military-industrial complex.”

日本語訳

「我々は、軍産複合体によって、望まれたものであれ望まれざるものであれ、正当でない影響力が獲得されることに対して警戒しなければならない」

解説

この名言は、アイゼンハワーが1961年の大統領退任演説で語った、民主主義国家に対する最も重要かつ有名な警告の一つである。ここで彼が「military-industrial complex(軍産複合体)」と呼んだのは、軍部、兵器産業、政治の間で形成される癒着構造であり、それが国家の意思決定に不当な影響を与える危険性を指摘している。

「unwarranted influence(正当でない影響力)」という表現は、国民の選択や透明な政治プロセスを超えて、特定の利権や権力集団が国家方針を左右することを意味している。特に注目すべきは「sought or unsought(望まれたものであれ、そうでなくとも)」という慎重な言い回しであり、意図的であっても、偶発的であっても、その影響力は警戒すべきであるという深い洞察が込められている。

この名言は現代においても極めて重要な意味を持つ。軍事支出の拡大、戦争経済の構造化、軍事技術と民間産業の一体化といった問題が続くなかで、民主的統制のないまま進行する軍事と経済の結合は、国家の方向性を歪めかねない。この言葉は、民主主義を守るためには、市民が透明性と説明責任を求め、権力の集中と利権の構造を常に監視し続けなければならないという原則を、静かにしかし力強く訴えている。

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