「数年前、私はコロンビア大学の学長になったが、24時間以内に“いつでも即座に演説する”準備が必要だと学んだ。そしてもう一つ学んだことがある──理事たちは“寄付を募る瞬間”に備えて話す覚悟が求められていたということだ」

- 1890年10月14日~1969年3月28日
- アメリカ合衆国出身
- 軍人、政治家、第34代アメリカ合衆国大統領
- 第二次世界大戦中に連合国軍の最高司令官としてヨーロッパ戦線を指揮し、ノルマンディー上陸作戦を成功に導いた。大統領としては冷戦下の安定と経済成長を推進し、州間高速道路網の建設や公民権運動初期への対応でも知られている。
英文
“Some years ago I became president of Columbia University and learned within 24 hours to be ready to speak at the drop of a hat, and I learned something more, the trustees were expected to be ready to speak at the passing of the hat.”
日本語訳
「数年前、私はコロンビア大学の学長になったが、24時間以内に“いつでも即座に演説する”準備が必要だと学んだ。そしてもう一つ学んだことがある──理事たちは“寄付を募る瞬間”に備えて話す覚悟が求められていたということだ」
解説
この名言は、教育機関の運営における現実とユーモアを交えた皮肉な洞察を語っている。アイゼンハワーは第二次世界大戦後にコロンビア大学の学長に就任した経験があり、そのなかで彼が体得したのは、リーダーたる者は、いついかなる時にも即興で演説する能力が求められるという政治的・公共的役割の重みであった。
しかしそれ以上に、この言葉は大学の理事(trustees)が果たすべきもう一つの現実的な責任──資金調達、つまり「寄付を集めること」への皮肉な指摘を含んでいる。「drop of a hat(すぐに)」「passing of the hat(寄付の依頼)」という英語の慣用句を巧みに用いることで、教育と経済、理想と資金の間にある緊張関係を軽妙に表現している。
現代の大学や公共機関においても、理想を語る教育者やリーダーが、同時に財政基盤の確保にも奔走せざるを得ない状況は変わっていない。この名言は、高等教育の世界にも現実的な経済活動が深く関与しており、理想と現実のバランスを保つことが指導者に求められるという事実を、皮肉とウィットを交えて伝えている。指導者とは演説家であると同時に、現実主義者でなければならないという、普遍的な教訓を含む名言である。
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