「製造されるあらゆる銃、進水するあらゆる軍艦、発射されるあらゆるロケットは、最終的な意味において、飢えても食べられず、寒さに震えても衣服を持たない人々からの盗みを意味する」

- アメリカ合衆国出身
- 軍人、政治家、第34代アメリカ合衆国大統領
- 第二次世界大戦中に連合国軍の最高司令官としてヨーロッパ戦線を指揮し、ノルマンディー上陸作戦を成功に導いた。大統領としては冷戦下の安定と経済成長を推進し、州間高速道路網の建設や公民権運動初期への対応でも知られている。
英文
“Every gun that is made, every warship launched, every rocket fired, signifies in the final sense a theft from those who hunger and are not fed, those who are cold and are not clothed.”
日本語訳
「製造されるあらゆる銃、進水するあらゆる軍艦、発射されるあらゆるロケットは、最終的な意味において、飢えても食べられず、寒さに震えても衣服を持たない人々からの盗みを意味する」
解説
この名言は、軍備拡張が社会的弱者への配慮を犠牲にして行われている現実を鋭く批判するアイゼンハワーの道徳的立場を表明したものである。彼は第二次世界大戦を戦い抜いた軍人である一方で、平和の維持と国民生活の安定こそが国家の本質的な強さであると確信していた。この言葉には、戦争のための資源配分が、貧困者や困窮者への支援を奪っているという倫理的問題への深い洞察が込められている。
この発言は1953年、彼の大統領就任直後の演説「チャンスのための十字軍(Chance for Peace)」で語られたものであり、冷戦下の軍拡競争のなかで平和の機会がいかに失われつつあるかを訴えるものであった。アイゼンハワーは、安全保障の名の下に国富が浪費されることに懸念を抱き、兵器ではなく福祉や教育に投資すべきだと警告していた。「一発のミサイルは一軒の学校を建てる資金を奪う」という思想が、この名言の背景にある。
現代においても、軍事費の増加が福祉・医療・教育といった公共サービスの圧迫要因となっている構造は世界共通の課題である。この名言は、真の安全とは武力ではなく、人々の生活が安定し、希望をもって生きられる社会から生まれるという普遍的な理念を示している。国家の優先順位は誰のためのものか、それが社会の道義性と未来を左右することを、この言葉は静かに、しかし力強く問いかけている。
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