「我が国が現在、軍備経済に傾倒しているのは、誤った政策の一般的な傾向の一部であり、それは人為的に誘発された戦争ヒステリーという精神錯乱から生まれ、絶え間ない恐怖の宣伝によって育まれてきた」

- 1880年1月26日~1964年4月5日
- アメリカ合衆国出身
- 軍人、陸軍元帥、統治官
- 太平洋戦争において連合国軍の司令官として活躍し、フィリピン解放や日本占領政策を主導。日本の戦後復興と民主化に大きな影響を与えた。名言「I shall return(私は必ず戻ってくる)」と共に、20世紀の軍事と外交の象徴的存在として知られている。
英文
“It is part of the general pattern of misguided policy that our country is now geared to an arms economy which was bred in an artificially induced psychosis of war hysteria and nurtured upon an incessant propaganda of fear.”
日本語訳
「我が国が現在、軍備経済に傾倒しているのは、誤った政策の一般的な傾向の一部であり、それは人為的に誘発された戦争ヒステリーという精神錯乱から生まれ、絶え間ない恐怖の宣伝によって育まれてきた」
解説
この言葉は、冷戦時代の軍備拡張と恐怖政治への痛烈な批判である。ここで言及されている「arms economy(軍備経済)」とは、国家の経済構造が防衛産業に依存し、平時であっても常に戦争に備えた体制にあることを指す。マッカーサーは、これを政策の誤りによる帰結であると明言しており、根底には作られた戦争ヒステリーと恐怖の宣伝があると見抜いている。
彼が指摘する「artificially induced psychosis of war hysteria(人為的に誘発された戦争ヒステリー)」は、国民の不安を煽ることで軍備拡張を正当化する政治の手法であり、これは特に第二次世界大戦後から冷戦初期にかけてのアメリカ社会に顕著であった。国民の心理を操作することによって、平和の名の下に軍拡が進められる矛盾がこの名言には込められている。
現代でも、この名言は安全保障と経済、情報操作の三者の危険な連鎖を警告するものとして有効である。戦争の恐怖を用いたプロパガンダは、依然として国家の方針を左右し、市民の冷静な判断や民主的な議論を妨げる要因となりうる。ゆえにこの言葉は、軍事力に依存しない平和の在り方を模索する上で、真に政策が誰の利益のためにあるのかを問う根源的な視点を与えてくれるものである。
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