「今も昔も、神々は人間にあらゆる善きものを授けるが、有害で害をなし無益なものだけは与えない。これらは今も昔も神々の賜物ではなく、人間が自らの盲目と愚かさゆえに踏み込むものである」

デモクリトス(画像はイメージです)
デモクリトス(画像はイメージです)
  • 紀元前460年頃~紀元前370年頃
  • 古代ギリシャ出身
  • 哲学者、自然哲学者、「原子論の提唱者」

英文

“Now as of old the gods give men all good things, excepting only those that are baneful and injurious and useless. These, now as of old, are not gifts of the gods: men stumble into them themselves because of their own blindness and folly.”

日本語訳

「今も昔も、神々は人間にあらゆる善きものを授けるが、有害で害をなし無益なものだけは与えない。これらは今も昔も神々の賜物ではなく、人間が自らの盲目と愚かさゆえに踏み込むものである」

解説

この言葉は、善と悪の起源を人間と神との関係の中で明確に区別しようとする倫理的教訓である。デモクリトスは、神々を人間に善きものをもたらす存在とみなし、害悪や不幸の原因は神ではなく、人間自身の判断力の欠如にあると断言している。これは宗教的な運命論や神罰思想への批判でもあり、人間の責任と自由意志の重さを強調する考え方である。

古代ギリシア哲学では、神々はしばしば宇宙秩序や理性の象徴として捉えられた。デモクリトスもまた、宇宙の調和と合理性を信じ、悪や不幸は神々によるものではなく、愚かさや無知からくる人間の過ちだとした。この名言は、自己の不幸を他者や超自然的存在のせいにするのではなく、自らの行為と向き合うべきであるという倫理的な自己責任論を語っている。

現代においても、この名言は個人や社会の失敗を外部に責任転嫁する風潮への警告として有効である。たとえば、環境破壊、戦争、貧困なども、神の意志ではなく、人間の欲望や無理解、怠慢から生じていると理解すべきである。この言葉は、善きものは与えられるが、それを保ち、害悪を避ける努力は人間の理性と選択に委ねられているという、普遍的な哲学的真理を明快に示している。

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