「自分ばかりが話し、まったく聞こうとしないのは貪欲である」

デモクリトス(画像はイメージです)
デモクリトス(画像はイメージです)
  • 紀元前460年頃~紀元前370年頃
  • 古代ギリシャ出身
  • 哲学者、自然哲学者、「原子論の提唱者」

英文

“It is greed to do all the talking but not to want to listen at all.”

日本語訳

「自分ばかりが話し、まったく聞こうとしないのは貪欲である」

解説

この言葉は、対話における傾聴の重要性と、自我の過剰な表出がもたらす不調和を鋭く指摘している。デモクリトスは、言葉による知恵の共有が人間の本質的行為であると考えていたが、それには話すことと聞くことの均衡が必要であると理解していた。一方的に話すだけで他者の言葉に耳を傾けない態度は、知的・道徳的な貪欲さの表れであり、真の対話とは言えない。

この思想は、古代ギリシアの対話主義的哲学――とくにソクラテスの問答法における「聞くことの美徳」とも通じる。知者とは多くを語る者ではなく、他者の言葉に学び、そこから真理を導こうとする姿勢を持つ者である。デモクリトスのこの名言も、知識や意見の押し付けではなく、相互の理解を前提とした思索の在り方を説いている。

現代においても、この言葉はコミュニケーションにおける自己中心性や情報過多の問題に対する重要な警鐘である。SNSやメディアにおいて発信が重視されがちな時代において、聞くことの価値や沈黙の持つ力が軽視されている。この名言は、言葉のやりとりにおける「貪欲」と「節度」の差異を明らかにし、誠実な対話と他者への敬意の大切さを私たちに思い起こさせる。

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