「少ししか望まなければ、貧しい人間も自らを富ませることができる」

デモクリトス(画像はイメージです)
デモクリトス(画像はイメージです)
  • 紀元前460年頃~紀元前370年頃
  • 古代ギリシャ出身
  • 哲学者、自然哲学者、「原子論の提唱者」

英文

“By desiring little, a poor man makes himself rich.”

日本語訳

「少ししか望まなければ、貧しい人間も自らを富ませることができる」

解説

この言葉は、真の豊かさとは外的な所有ではなく、内面的な欲望の制御にあるという哲学的主張である。デモクリトスは、物質的な富よりも心の平穏や自己充足を重視した。欲望が少なければ少ないほど、必要とするものが減り、結果的に満たされた状態に近づく。これは、主観的な満足感こそが本当の富であるという考えに通じる。

古代ギリシアでは、「自足」(オートゥルケイア)という概念が尊ばれ、特にキュニコス派やストア派にも通じる価値観があった。デモクリトスのこの思想は、「幸福は外部にではなく、自分の内に見いだせ」という古代倫理の要約とも言える。貧しくとも、欲望が少なければ、精神的には何不自由ない王のように生きられるのである。

現代においても、この考え方は非常に示唆に富む。消費社会においては、より多くを求めることが美徳のように扱われがちだが、ミニマリズムや断捨離の潮流が示すように、「持たないこと」が心の自由や幸福をもたらすという逆説的な価値観が見直されつつある。自らの欲望を吟味し、必要最小限にとどめることこそが、本当の意味での豊かさを生む道であると、この名言は教えている。

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