「本当の気品というものは、真黒いどっしりした大きい岩に白菊一輪だ」

- 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
- 日本出身
- 小説家
原文
「本当の気品というものは、真黒いどっしりした大きい岩に白菊一輪だ」
解説
この言葉は、太宰治が気品の本質を比喩的に表現したものである。気品とは華やかさや贅沢さではなく、重厚さと質素さが調和した姿であると示している。黒々とした大きな岩は堅固さと落ち着きを象徴し、その上に咲く白菊は清純で控えめな美を表す。つまり、真の気品とは土台の強さと、そこに添えられた慎ましい美の組み合わせだと太宰は考えたのである。
昭和初期の社会では、気品や品格はしばしば地位や格式によって測られがちであった。しかし太宰は、外面的な華やかさではなく、内面的な強さと素朴な美徳の共存こそが本物の気品であると喝破した。これは、彼の文学に一貫する「弱さと強さ」「質素と高貴」の二面性を重ねた表現でもある。
現代においても、この言葉は深い示唆を持つ。気品とは高価な衣服や地位の象徴ではなく、確かな人間性という土台の上に、さりげない優しさや清らかさが加わることで生まれる。太宰の比喩は、時代を超えて「気品とは何か」を考えさせるものであり、シンプルでありながら力強い人生訓として今も響いている。
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