「四十になっても五十になっても、くるしさに増減は無いね」

太宰治の名言・格言・警句(画像はイメージです)
太宰治の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
  • 日本出身
  • 小説家

原文

「四十になっても五十になっても、くるしさに増減は無いね」

解説

この言葉は、太宰治が人生の苦しみは年齢を重ねても本質的には変わらないという認識を述べたものである。人は若い頃には「年を取れば悩みは軽くなる」「経験が苦しみを和らげる」と考えがちだが、太宰はそれを否定し、人間存在に付きまとう苦しみは生涯を通じて持続すると断言している。

昭和初期の社会背景では、家庭や社会で年齢を重ねるごとに安定や成熟が期待されていた。しかし太宰は、そうした期待を裏切るかのように、人生は何歳になっても苦悩から解放されないという虚無的な思想を表明した。彼自身、青年期から晩年に至るまで絶えず苦悩を抱え、その心情を文学に刻み続けた作家であった。

現代においても、この言葉は強い共感を呼ぶ。社会的成功や家庭の安定を得ても、人間は心の不安や孤独から逃れることはできない。苦しみの質は変わっても、量が減るわけではないという太宰の視点は、人生を通じた人間存在の普遍的な真理を突きつけているのである。

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