「信じるところに現実はあるのであって、現実は決して人を信じさせる事が出来ない」

太宰治の名言・格言・警句(画像はイメージです)
太宰治の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
  • 日本出身
  • 小説家

原文

「信じるところに現実はあるのであって、現実は決して人を信じさせる事が出来ない」

解説

この言葉は、太宰治が現実と信念の関係を逆説的に捉えた思想を表している。通常、人は「現実を見て信じる」と考えるが、太宰はその因果を否定し、人が先に信じることで現実が成立すると主張している。つまり、現実は客観的に存在するものではなく、信じる心があって初めて意味を持つという認識である。

昭和初期の社会は、戦争や不安のただ中で「現実」に翻弄される時代であった。しかし太宰は、厳しい現実に従うだけでは人は生きられず、むしろ人間の主観的な「信じる力」が現実を形づくると感じていた。彼の文学においても、登場人物は現実に押しつぶされながらも、自分なりの信念や幻想を抱くことで生を支えようとする姿が描かれている。

現代においても、この言葉は大きな示唆を持つ。情報があふれる社会では、何を「現実」として受け止めるかは一人ひとりの信じ方によって変わる。信じるものがなければ現実はただの混沌であり、信じることで初めて意味や方向性を持つ。太宰の言葉は、人間が現実を受け身で生きるのではなく、信じる心で能動的に現実を築いていくべきだと告げているのである。

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