「なんだか、君たちは芸術家の伝記だけを知っていて、芸術家の仕事をまるっきり知っていないような気がします」

太宰治の名言・格言・警句(画像はイメージです)
太宰治の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
  • 日本出身
  • 小説家

原文

「なんだか、君たちは芸術家の伝記だけを知っていて、芸術家の仕事をまるっきり知っていないような気がします」

解説

この言葉は、太宰治が芸術家を理解する上で「伝記」と「仕事」を混同する態度への批判を表したものである。多くの人は芸術家の波乱万丈な人生や逸話には興味を示すが、実際の創作や作品の本質には目を向けない。太宰はその浅薄さを指摘し、芸術家を理解するには、伝記ではなく作品そのものに触れるべきだと告げている。

昭和初期の文学界でも、作家の奇行や私生活が過度に注目される風潮があった。太宰自身も破滅的な生涯が語られる一方で、作品の核心が軽視されることに不満を抱いていたと考えられる。芸術家の「生き様」が話題として消費される一方で、創作という最も重要な営みが見過ごされるという矛盾を、太宰は皮肉を込めて表現したのである。

現代においても、この言葉は強い意味を持つ。芸術家や作家はしばしばスキャンダルや私生活ばかりが注目されるが、本来評価されるべきは作品とその表現の力である。太宰のこの批判は、芸術を消費的に扱う風潮を戒め、芸術そのものに真剣に向き合う重要性を改めて示しているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「太宰治」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る