「自分自身と身近な友人のために財貨や所有物を獲得しようとするこの渇望だけは、飽くことがなく、絶え間なく、普遍的であり、そして社会を直接的に破壊するものである」

- 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
- スコットランド出身
- 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」
英文
”This avidity alone, of acquiring goods and possessions for ourselves and our nearest friends, is insatiable, perpetual, universal, and directly destructive of society.”
日本語訳
「自分自身と身近な友人のために財貨や所有物を獲得しようとするこの渇望だけは、飽くことがなく、絶え間なく、普遍的であり、そして社会を直接的に破壊するものである」
解説
この言葉は、ヒュームの人間の欲望と社会秩序への警告を表している。彼は人間が財貨や所有物を求める欲望は自然で普遍的なものだと認めつつ、無制限に拡大すれば社会の協調や安定を破壊する危険な力になると論じた。つまり、人間の欲望は社会生活の原動力であると同時に、その最大の脅威でもあるという逆説的な洞察である。
18世紀のヨーロッパは商業社会の発展期にあり、富の蓄積と格差の拡大が社会問題となっていた。ヒュームは、欲望そのものを否定するのではなく、法や慣習によって抑制・調整される必要性を強調した。無秩序な所有欲は社会契約を崩壊させ、互恵関係を破壊するため、制度による制御が不可欠である。
現代においても、この言葉は有効である。資本主義経済では所有欲や利益追求が成長の原動力となる一方、行き過ぎれば不平等や環境破壊を招く。したがってこの言葉は、人間の欲望を認識した上で、それを社会的に調整する仕組みを築くことの重要性を我々に示しているのである。
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