「道徳の規則は、我々の理性の結論ではない」

- 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
- スコットランド出身
- 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」
英文
”The rules of morality are not the conclusion of our reason.”
日本語訳
「道徳の規則は、我々の理性の結論ではない」
解説
この言葉は、ヒュームの道徳哲学における核心的な立場を表している。彼は、道徳が理性の演繹から導かれるものではなく、人間の感情や共感に基づいて成立すると考えた。理性は事実や手段を判断する力を持つが、善悪の区別を直接生み出すのは情念である。したがって道徳の規則は理性の必然的結論ではなく、人間の心情の働きによって形成される。
18世紀の啓蒙思想の中では、道徳の基盤を理性に置く立場が広く支持されていた。これに対してヒュームは、理性中心主義を批判し、「理性は情念の奴隷である」という命題と同様に、道徳もまた感情に根ざすと論じた。この立場は道徳感情論の基盤となり、アダム・スミスら後続の思想家に影響を与えた。
現代においても、この洞察は重要である。心理学や神経科学の研究は、道徳的判断が直感や感情に強く依存していることを示している。したがってこの言葉は、道徳を理解するには理性だけでなく、人間の感情と共感の働きを考慮すべきであることを教えているのである。
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