「人間の生命は、宇宙にとって牡蠣(カキ)の生命以上の重要性を持たない」

デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
  • 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
  • スコットランド出身
  • 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」

英文

”The life of man is of no greater importance to the universe than that of an oyster.”

日本語訳

「人間の生命は、宇宙にとって牡蠣(カキ)の生命以上の重要性を持たない」

解説

この言葉は、ヒュームの人間存在に対する懐疑的で自然主義的な視点を表している。人間はしばしば自らの存在を特別視し、宇宙の中心的役割を果たしていると考えがちである。しかしヒュームは、宇宙の視点から見れば人間も他の生物と同じく取るに足らない存在にすぎないと述べている。この発言には、人間中心主義を戒める冷徹な自然観が込められている。

18世紀の啓蒙時代は、科学の進展によって人間が自然の中に位置づけられ直す時代であった。コペルニクスやガリレオの地動説が示すように、宇宙における人間の地位は相対化されつつあり、ヒュームの見解もその流れを反映している。彼は宗教的な人間優越思想を批判し、自然界において人間を特権的に扱う根拠はないと強調したのである。

現代においても、この洞察は深い意味を持つ。宇宙規模で見れば人間は微小な存在であり、環境破壊や資源浪費もまた一種の傲慢さから生じている。したがってこの言葉は、人間の存在を相対化し、謙虚さを持って自然や宇宙を捉える視点を私たちに促しているのである。

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