「哲学から生じる最大の利益は間接的なものであり、その直接的な応用よりも、秘められた目立たぬ影響から生じる」

- 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
- スコットランド出身
- 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」
英文
”The chief benefit, which results from philosophy, arises in an indirect manner, and proceeds more from its secret, insensible influence, than from its immediate application.”
日本語訳
「哲学から生じる最大の利益は間接的なものであり、その直接的な応用よりも、秘められた目立たぬ影響から生じる」
解説
この言葉は、ヒュームが哲学の効用を静かな影響力に見出していたことを示している。哲学は日常的な実践に即座の解答を与えるわけではない。しかし、人間の思考様式や社会の価値観にじわじわと浸透し、無意識のうちに人々の見方や行動を変えていく点に真の力があるとするのである。
18世紀の啓蒙思想は、哲学を人間社会の進歩の原動力とみなしていたが、ヒュームはその影響を直接的というよりも漸進的なものと捉えた。理性や批判精神は、制度や学問の基盤を静かに変化させ、長期的に人間社会を洗練させる役割を担うと考えられたのである。
現代においても、この洞察は当てはまる。科学技術や倫理の発展も、日々の生活に直結するというより、哲学的な思索が社会の前提を形作ることで実現してきた。したがってこの言葉は、哲学の価値を即効性ではなく持続的で静かな影響力に見いだすべきことを我々に教えているのである。
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