「スコラ的学問と論争的神学は、真の知識の成長を遅らせた」

デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
  • 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
  • スコットランド出身
  • 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」

英文

”Scholastic learning and polemical divinity retarded the growth of all true knowledge.”

日本語訳

「スコラ的学問と論争的神学は、真の知識の成長を遅らせた」

解説

この言葉は、ヒュームの中世的学問への批判を端的に表している。スコラ哲学はアリストテレス哲学とキリスト教神学を結びつけた体系であり、中世ヨーロッパで長く学問の中心にあった。しかしヒュームにとって、それは論理的な技巧や神学的議論に偏り、経験に基づく実証的知識の発展を妨げたものと映った。

18世紀の啓蒙時代において、経験と観察を重んじる自然科学が急速に発展した。その文脈でヒュームは、抽象的な神学論争や形式的な学問体系が人類の知識を停滞させてきたと考えた。これは理性と実証を重視する啓蒙思想の立場からの批判であり、当時の学問の方向性を大きく変える思想的背景となった。

現代においても、この言葉は意味を持つ。形式主義的な議論やイデオロギー的な対立は、実証的で建設的な知識の探究を妨げることがある。したがってこの言葉は、真の知識の成長には、観察・経験・批判的検討を重視する姿勢が不可欠であることを強調しているのである。

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