「少数者が多数者を支配することが、これほど容易であることほど驚くべきことはない」

- 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
- スコットランド出身
- 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」
英文
”Nothing is more surprising than the easiness with which the many are governed by the few.”
日本語訳
「少数者が多数者を支配することが、これほど容易であることほど驚くべきことはない」
解説
この言葉は、ヒュームの政治権力と統治の構造に関する鋭い洞察を示している。彼は、支配者が武力や暴力だけで大衆を従わせているのではなく、習慣や同意、権威への信頼といった心理的要因によって多数を容易に統治していることに驚きを表明した。ここには、権力の根源が単なる強制ではなく、被支配者側の受け入れに依存しているという逆説的な理解がある。
18世紀のヨーロッパでは、絶対王政と新たな立憲的秩序の対立が続いていた。ヒュームの視点は、歴史を通じて少数の支配層が広大な民衆を統治できた理由を説明するものであり、政治権力は被治者の服従と慣習の積み重ねによって成立するという理論につながった。これは後の社会契約論や権威論にも大きな影響を与えた。
現代においても、この言葉は示唆的である。国家や企業のリーダーが多数の人々を統治・管理できるのは、制度や暴力だけではなく、人々の信頼や同意の蓄積が支えているからである。したがってこの言葉は、統治の安定は支配者の力だけでなく、被支配者の受容や慣習に依存していることを教えているのである。
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