「友をこれほどまでに愛おしく思わせるものは、その死を悼む悲しみである。生前の交わりの喜びには、それほど強い力はない」

デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
  • 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
  • スコットランド出身
  • 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」

英文

”Nothing endears so much a friend as sorrow for his death. The pleasure of his company has not so powerful an influence.”

日本語訳

「友をこれほどまでに愛おしく思わせるものは、その死を悼む悲しみである。生前の交わりの喜びには、それほど強い力はない」

解説

この言葉は、ヒュームの感情と人間関係の逆説を示している。生前に共に過ごす楽しさよりも、死別の悲しみの方が友の存在を深く心に刻むという指摘である。つまり、喪失の痛みが記憶を鮮烈にし、友情の価値を一層高めるのである。

18世紀の思想家たちは、人間の情念が理性よりも強く行動や記憶を左右することを注目していた。ヒュームは経験論と心理観察の立場から、人間は幸福よりも苦痛や悲哀の方を強く意識する傾向があると述べた。この視点は、友情や愛情の深さはしばしば死や別離によって浮き彫りにされるという現実的な人間理解に基づいている。

現代においても、この洞察は共感を呼ぶ。日常の楽しさよりも、失った後の悲しみが友情の重みを際立たせることは多い。したがってこの言葉は、人間の感情において喪失の体験が愛情を強化する力を持つことを教えているのである。

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