「すべての人間は不正直者であると想定せねばならない、というのは正しい政治的格言である」

デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
  • 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
  • スコットランド出身
  • 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」

英文

”It is a just political maxim, that every man must be supposed a knave.”

日本語訳

「すべての人間は不正直者であると想定せねばならない、というのは正しい政治的格言である」

解説

この言葉は、ヒュームの人間観と政治思想を端的に示している。彼は、人間は利己的で不正直な行動を取りうる存在であることを前提に、制度や統治を設計すべきだと考えた。つまり、為政者や市民の徳性に依存するのではなく、人間の弱さを前提に権力を制約し、利益を調整する仕組みを築くことが政治の要諦だとするのである。

18世紀は社会契約論や自由主義思想が発展し、政治制度の正当性が議論されていた時代であった。ヒュームの視点は、人間の本性を過度に理想化する立場に対する批判であり、制度設計の現実主義的基盤を提示した。この考え方は後に、憲法思想や立憲主義の発展に影響を与えた。

現代においても、この言葉は有効である。汚職や権力の濫用を防ぐためには、人間が不正を働く可能性を常に想定し、監視や抑制の仕組みを整えることが不可欠である。したがってこの言葉は、政治における健全な懐疑と制度的制御の重要性を我々に教えているのである。

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