「状況が気質に合っている人は幸福である。しかし、どのような状況にも自らの気質を適応させられる人は、さらに優れている」

- 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
- スコットランド出身
- 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」
英文
”He is happy whom circumstances suit his temper; but he is more excellent who suits his temper to any circumstance.”
日本語訳
「状況が気質に合っている人は幸福である。しかし、どのような状況にも自らの気質を適応させられる人は、さらに優れている」
解説
この言葉は、幸福と卓越性の違いを示している。前者は外部環境と個人の性質が偶然一致した場合の幸福であり、受動的なものにすぎない。一方で後者は、どのような状況にあっても自己を調整し、環境に適応して生きる力を持つ人物である。ヒュームは人間の弱さを認めつつも、状況を超えて気質を整える主体的な姿勢を称賛したのである。
この考えは、18世紀の経験論的な人間観に基づいている。啓蒙思想の中では、人間が理性や訓練によって自己を律し、運命に左右されない生き方を目指すべきだという議論が盛んであった。ヒュームの言葉はその流れの中で、幸福を受け身のものから能動的な徳の実践へと高める視点を提示している。
現代社会においても、この洞察は実践的である。予測不可能な経済や社会の変動の中で、環境に恵まれるのを待つのではなく、柔軟に思考や態度を変える力こそが重要である。つまりこの言葉は、真の優秀さとは外的条件に依存せず、内面の調整によって逆境すら克服する力にあることを教えているのである。
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