「美は、それが道徳的であれ自然的であれ、知覚されるというよりも、むしろ感じ取られるものだ」

デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
  • 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
  • スコットランド出身
  • 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」

英文

”Beauty, whether moral or natural, is felt, more properly than perceived.”

日本語訳

「美は、それが道徳的であれ自然的であれ、知覚されるというよりも、むしろ感じ取られるものだ」

解説

この言葉は、ヒュームの美の本質に関する経験論的な立場を示している。彼にとって美は客観的に存在するものではなく、人間の感覚や情緒に根ざした体験である。つまり、美は理性的な分析や客観的知覚によって把握されるものではなく、感情として直接的に「感じられる」ものだとするのである。

18世紀の美学論争では、美を客観的に定義できるかどうかが大きな論点であった。ヒュームはその中で、判断基準を個人の感受性に置き、美的価値は主体の感情によって成立すると主張した。この立場は、芸術や倫理における相対主義や多様な価値観を認める考え方へとつながっている。

現代においても、この洞察は有効である。芸術鑑賞において「美しい」と感じる基準は文化や個人の経験によって異なる。また道徳的な美も、形式的な規則よりも共感や感情から強く感じられることが多い。したがってこの言葉は、美は客観的な対象に宿るのではなく、人間の感性によって初めて立ち現れることを我々に教えているのである。

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