「強欲は勤勉を駆り立てる拍車である」

デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
デイヴィッド・ヒューム(画像はイメージです)
  • 1711年5月7日~1776年8月25日(65歳没)
  • スコットランド出身
  • 哲学者、歴史家、経済学者、「経験論と懐疑主義の代表的思想家」

英文

”Avarice, the spur of industry.”

日本語訳

「強欲は勤勉を駆り立てる拍車である」

解説

この言葉は、人間の欲望と経済活動の関係を示している。ヒュームは人間の行動原理を冷静に観察し、強欲のような否定的に見える情念であっても、社会においては勤勉や生産の原動力となり得ると論じた。つまり、利己的な欲望が結果的に公共の利益に資するという逆説的な洞察である。

18世紀は商業社会が急速に発展し、労働・商取引・富の蓄積が社会の中心的課題となっていた。ヒュームはこうした時代背景の中で、強欲そのものを美徳としたわけではなく、人間の弱さを否定せず、制度的に活用することで社会全体が発展することを示唆した。この考えは後の経済思想、特にアダム・スミスの議論にも通じる。

現代においても、この言葉は有効である。資本主義経済では、利益追求という個人の動機が、技術革新や産業の発展を促す。しかし過剰な強欲は不平等や環境破壊を引き起こすため、制度や規範による制御が不可欠である。したがってこの言葉は、人間の欲望を否定せず、それを社会の推進力として利用しつつ制御する重要性を示しているのである。

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