「しかし、この世界的な結びつきの体系にもかかわらず、まさに今この瞬間、あらゆる場所でかつてない規模でコミュニケーションが崩壊しているという一般的な感覚が存在している」

デヴィッド・ボーム(画像はイメージです)
  • 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
  • 理論物理学者、哲学者

英文

”Yet, in spite of this world-wide system of linkages, there is, at this very moment, a general feeling that communication is breaking down everywhere, on an unparalleled scale.”

日本語訳

「しかし、この世界的な結びつきの体系にもかかわらず、まさに今この瞬間、あらゆる場所でかつてない規模でコミュニケーションが崩壊しているという一般的な感覚が存在している」

解説

この言葉は、グローバル化とコミュニケーションの逆説を突きつけている。デヴィッド・ボームは、現代社会において交通や情報網が地球規模で広がり、人々がこれまでになくつながっているにもかかわらず、同時に深刻なコミュニケーションの断絶が生じていると指摘する。つまり、物理的な結びつきの増大と、意味の共有の崩壊が同時進行しているという矛盾である。

歴史的に見れば、通信技術の発展は人類の距離を縮めてきた。しかし冷戦期のイデオロギー対立や、現代における宗教・民族紛争は、情報が行き渡る一方で理解や信頼が深まらない現実を示している。コミュニケーションの崩壊は情報不足ではなく、意味の共有の欠如に起因するという点が重要である。

現代においてこの洞察はさらに切実である。SNSやインターネットは世界を即座につなぐが、分断やフェイクニュースの拡散もまた容易にしている。ボームの言葉は、真のコミュニケーションは単なる情報の交換ではなく、意味の共有に基づくものでなければならないという警鐘として受け取ることができる。

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