「私たちは思考を一つのプロセスとしてあまり注目してこなかった。思考に従事してはきたが、注目してきたのはその内容であって、プロセスそのものではなかった」

- 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
- 理論物理学者、哲学者
英文
”We havent really paid much attention to thought as a process. we have engaged in thoughts, but we have only paid attention to the content, not to the process.”
日本語訳
「私たちは思考を一つのプロセスとしてあまり注目してこなかった。思考に従事してはきたが、注目してきたのはその内容であって、プロセスそのものではなかった」
解説
この言葉は、思考の「内容」と「過程」の区別を強調している。デヴィッド・ボームは、人間は思考の結果として生じる概念や情報(内容)に囚われすぎており、思考そのものがどのように生まれ、作用し、影響を与えるかという動的なプロセスに目を向けてこなかったと指摘する。ここでの批判は、思考を道具として使う主体的な態度を欠き、無自覚に支配されている人類の在り方に向けられている。
歴史的に見ても、人間は思想や学説の「結果」を重視してきたが、その背後にある思考の仕組みを省みることは少なかった。例えば哲学や科学の議論でも、結論や理論が注目される一方で、それを生み出す思考の働き自体を検討する試みは限られてきた。思考のプロセスを問う姿勢は、ボームが提唱した「ダイアログ」の根幹にもつながっている。
現代において、この指摘は極めて重要である。SNSやメディアは膨大な「内容」を流通させるが、それを生み出す思考の過程に注意が払われることは少ない。ボームの言葉は、思考を内容ではなくプロセスとして観察する意識が、混乱や分断を超えて新しい理解と調和をもたらす可能性を示している。
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