「思考は自ら分断を作り出し、それを自然に存在するものだと言う」

デヴィッド・ボーム(画像はイメージです)
  • 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
  • 理論物理学者、哲学者

英文

”Thought is creating divisions out of itself and then saying that they are there naturally.”

日本語訳

「思考は自ら分断を作り出し、それを自然に存在するものだと言う」

解説

この言葉は、思考が生み出す分断の虚構性を指摘している。デヴィッド・ボームは、人種、国境、宗教、階級といった社会的な区別が本来の自然な秩序から生じたものではなく、人間の思考が構築し固定化した結果であると考えた。つまり、人間の思考が作り出したものを「自然なもの」と錯覚することが、対立や衝突の原因になるのである。

歴史的に見ても、国境線や民族の違いは多くの場合、人間の思考と政治的決定によって人工的に形成された。植民地支配の時代に引かれた境界線が現代まで紛争を生んでいる例はその典型である。思考がつくった区別を「自然の必然」と誤認することが、戦争や差別を正当化してきたのである。

現代においても、この洞察は深い意味を持つ。ジェンダーや経済格差、文化的対立などの多くは、思考が作り出した枠組みを「当然のもの」とみなすことで固定化されている。ボームの言葉は、分断の根源が思考の作用そのものにあることを認識することで、より調和的な社会を築くための重要な出発点を示している。

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