「人々はもはや主として対立しているのではなく、また単に相互作用しているとも言えない。むしろ彼らは、絶えず発展し変化し得る共通の意味のプールに参加しているのである」

- 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
- 理論物理学者、哲学者
英文
”People are no longer primarily in opposition, nor can they be said to be interacting, rather they are participating in this pool of common meaning which is capable of constant development and change.”
日本語訳
「人々はもはや主として対立しているのではなく、また単に相互作用しているとも言えない。むしろ彼らは、絶えず発展し変化し得る共通の意味のプールに参加しているのである」
解説
この言葉は、対話を通じて形成される共通の意味の場を強調している。デヴィッド・ボームは、人々が単に意見をぶつけ合ったり、相互作用するのではなく、より深いレベルで「共通の意味」を分かち合うことが可能だと考えた。そのとき、人間関係は対立や単純な交流を超えて、絶えず変化し成長する共同の意味空間への参加へと移行する。
歴史的に見れば、この考えは共同体や文化の発展と深く結びついている。古代ギリシャのアゴラや中世の学問共同体、啓蒙時代のサロンなどは、個人の主張を超えた共通理解を醸成する場として機能してきた。そこでは新しい思想や価値観が生まれ、社会全体に影響を与えていった。共通の意味を共有する営みこそが文化の進化を可能にしたのである。
現代社会においても、この洞察は極めて重要である。分断や対立が顕著な時代において、SNSや国際的な協議の場が単なる意見の衝突に終わるのではなく、変化し続ける共通の意味を生み出す場となることが求められている。ボームの言葉は、対話が文化と社会を根本から変える潜在力を持つことを示している。
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