「このようにして新しい種類の心が生まれ始める。それは対話の過程で絶えず変化し続ける共通の意味の発展に基づいている」

デヴィッド・ボーム(画像はイメージです)
  • 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
  • 理論物理学者、哲学者

英文

”A new kind of mind thus beings to come into being which is based on the development of a common meaning that is constantly transforming in the process of the dialogue.”

日本語訳

「このようにして新しい種類の心が生まれ始める。それは対話の過程で絶えず変化し続ける共通の意味の発展に基づいている」

解説

この言葉は、対話によって形成される新しい心の在り方を強調している。デヴィッド・ボームは「ダイアログ」という概念を重視し、個々の意見の衝突や単なる討論ではなく、互いに耳を傾け合い、共通の意味を創り出していく過程こそが、人間の意識を変革すると考えた。ここで言う「新しい心」とは、個別的で断片的な思考を超え、共通の意味を共有する協働的な意識を指している。

歴史的に見れば、科学や哲学の進展は多くの場合、個人の天才のひらめきだけでなく、対話と共有によって生まれた共通理解に支えられてきた。例えばアテネの哲学者たちの対話や、近代科学における学術的討論は、新しい枠組みを生み出す土壌となった。ボームが注目したのは、この対話が単なる情報交換ではなく、意識そのものを変容させる創造的な力を持つ点である。

現代においても、この洞察は極めて重要である。分断が深まる社会において、異なる立場や文化の間での対話は、単なる妥協ではなく新しい意味を共同で創造する契機となり得る。ボームの言葉は、対話の本質を「変化し続ける共通の意味の形成」として捉え、それが調和的な社会と新しい心の基盤を築くことを示している。

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