「もし現世が道を踏み外しているなら、その原因は汝らの中にあり、汝ら自身の内にこそ探さねばならぬ」

- 1265年頃~1321年9月14日
- イタリア(フィレンツェ共和国)出身
- 詩人、哲学者、政治家
- 叙事詩『神曲』の作者として知られ、中世ヨーロッパ文学の頂点を築いた。トスカーナ語(イタリア語)の発展にも寄与し、「イタリア語の父」とも称される。現世・煉獄・天国を旅する壮大な構想を通じて、宗教・倫理・政治の問題を詩的に表現した。
英文
“If the present world go astray, the cause is in you, in you it is to be sought.”
日本語訳
「もし現世が道を踏み外しているなら、その原因は汝らの中にあり、汝ら自身の内にこそ探さねばならぬ」
解説
この言葉は、『神曲』煉獄篇第16歌にて、正義の本質や人間の自由意志について論じられる場面で語られる。ここでは、政治や社会の混乱が神や運命のせいではなく、人間自身の選択や責任に帰すべきであるという、ダンテの倫理観が明確に示されている。人間は理性と自由意志を与えられた存在であり、その使い方が世界の秩序を左右するという信念が根底にある。
この思想は、神学と政治思想が密接に結びついていた中世後期において、非常に先進的なものであった。教会や国家の堕落が問題視される中で、ダンテは指導者だけでなく民衆一人ひとりに責任を求めた。つまり、悪や混乱は外部のせいではなく、内なる倫理の欠如に起因するという、厳しくも誠実な訴えである。
現代社会においてもこの言葉は有効である。環境破壊や社会的不正義、政治の腐敗といった問題を他者の責任とするのではなく、自らの行動と価値観を省みよというメッセージとして受け取ることができる。変化と再生は外からではなく、常に個人の内側から始まるという教訓を、この一文は強く伝えている。
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