「千台の戦車を持つ国を治めるには、政務に真剣に取り組み、誠実であること。支出を節度あるものとし、民を愛し、適切な時期に人々を働かせることが必要である」

- 紀元前551年~紀元前479年
- 中国(春秋時代の魯)出身
- 思想家・教育者・政治家
英文
“To rule a country of a thousand chariots, there must be reverent attention to business, and sincerity; economy in expenditure, and love for men; and the employment of the people at the proper seasons.”
日本語訳
「千台の戦車を持つ国を治めるには、政務に真剣に取り組み、誠実であること。支出を節度あるものとし、民を愛し、適切な時期に人々を働かせることが必要である」
解説
この言葉は、国家を治める上で必要な五つの基本原則を示した孔子の政治哲学の要約である。孔子は、権力や武力ではなく、徳と実務に基づいた治世こそが安定した国家を築く鍵であると考えた。「千台の戦車」とは大国を象徴する比喩であり、そのような大国であっても、根本にあるのは指導者の誠実さと民への配慮である。
まず、政務に対する敬意と誠実さは、統治者の基本的な姿勢を意味し、それがあって初めて信頼と秩序が保たれる。「支出の節度」は国の財政を健全に保つために不可欠であり、無駄な浪費を戒めている。「民を愛する」ことは、支配ではなく共存の精神に立ち、国の繁栄は民の幸福にあるという孔子の信念を体現している。そして、「適切な季節に人を使う」とは、農事など生活に配慮した労働の管理を意味し、民を疲弊させない慎重な統治を求めている。
この教えは、現代の行政や企業経営にも通じる。誠実な姿勢、無駄のない運営、労働環境への配慮と人間尊重の精神は、いかなる組織にも通用する普遍的な原理である。孔子のこの言葉は、指導とは人を動かすことではなく、人を理解し、人と共に歩むことにあるという深い智慧を伝えている。
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