「君子が目指すものは真理である」

• 紀元前551年～紀元前479年
• 中国（春秋時代の魯）出身
• 思想家・教育者・政治家

英文

“The object of the superior man is truth.”

日本語訳

「君子が目指すものは真理である」

解説

この言葉は、真に徳のある人物（君子）にとって、行動や思考の最終的な目的は利益や名誉ではなく、道理にかなった「真理」であるという孔子の倫理観を端的に示している。ここでいう「真理」とは、単なる知識や情報ではなく、人間として正しくあるための普遍的な価値や道徳的原則を意味している。

孔子は、君子とは状況や損得に左右されず、常に正しさを基準に物事を判断し、それに従って生きる者であると定義した。つまり、真理を追求するという姿勢こそが、人格を磨き、社会に信頼される人物になる道である。これに対し、小人は私利私欲に走り、道理よりも目先の得を優先させる。

現代においても、この教えは私たちの選択基準を問い直す力を持つ。情報や利害が錯綜する中でも、何が正しいのかを見極め、そこに自らの基準を置くことが、信頼と尊厳のある生き方を築く。孔子のこの言葉は、真理を求める誠実な姿勢こそが、君子の本質であり、時代を超えて人間の理想であることを静かに教えている。

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