「世界的兄弟愛の理念は、中国思想の普遍的性格に本来備わっているものであり、それは孫文の支配的な概念であった。そして歴史の出来事は、彼が空想家ではなく、世界における最大の現実主義者の一人であったことを繰り返し証明してきた」

- 1887年10月31日~1975年4月5日(87歳没)
- 中国(清国)出身
- 軍人、政治家、中華民国総統
英文
”The idea of universal brotherhood is innate in the catholic nature of Chinese thought; it was the dominant concept of Dr. Sun Yat-sen, whom events have proved time and again to be not a visionary but one of the world’s greatest realists.”
日本語訳
「世界的兄弟愛の理念は、中国思想の普遍的性格に本来備わっているものであり、それは孫文の支配的な概念であった。そして歴史の出来事は、彼が空想家ではなく、世界における最大の現実主義者の一人であったことを繰り返し証明してきた」
解説
この言葉は、蔣介石が孫文の思想と中国伝統思想の普遍性を結びつけて語ったものである。中国思想には儒教を中心とした天下観や大同思想といった普遍的な人類愛の理念が含まれており、これを孫文が受け継いだと蔣は位置づけている。つまり、孫文の理想は単なる西洋思想の模倣ではなく、中国固有の思想的基盤に根差していると強調している。
歴史的文脈として、孫文は三民主義を掲げ、中国の近代化と民族解放を目指した。その根底には、中国のみならず世界全体の平和と人類の連帯を視野に入れる思想があった。蔣は孫文を単なる理想主義者ではなく、現実の歴史に基づいて行動した偉大な指導者と評価し、その思想の正統性を自らの政治理念に結びつけた。
現代的に見れば、この言葉は普遍的価値と現実政治の両立を示している。世界的な連帯や人類愛という理念は理想に留まりがちだが、それを現実に落とし込むことができる人物が真の指導者である。蔣介石の発言は、孫文の理想を現実主義と結びつけ、普遍性を持つ思想を国家建設の現実的指針とする姿勢を強調しているのである。
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